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医療用語紹介① 酸素療法の流量システムについて

専門学校や大学を卒業して晴れて社会という大海原に進出したとしても、いきなり一人前としてバリバリ働くのはほとんど困難で、誰しも社会の厳しさを味わいます。

 

 

社会での組織の一員としての考え方というものは、ある程度の年月をかけて形成されていくものですので、すぐに身につくものではないですし、むしろ時間をかけて身に着けていくべきものであると考えます。

しかしその一方で、単純に知識というものは、学べば学んだだけ、私達の武器となり鎧となっていきます。

一歩社会という砂漠に出ると、学校では教えてくれなかったことが、次から次へと疑問となって私たちの頭を悩ませます。最初の内は勉強勉強の毎日ですが、仕方ありません。

 

我々医療職における、卒後教育で重要なテーマの1つが『酸素療法』です。

ここでは酸素療法の、特にはじめに流量システムについて簡単に説明させて頂きます。

  

 

低流量と高流量

ベッドサイドで患者に酸素カヌラやマスクを着け、何気なく酸素を投与していると思いますが、低流量と高流量という酸素投与のシステムについては知らない方が多いのではないでしょうか?

 

病棟のやりとりでよく「この人酸素化悪いから、カヌラ(カニューラ)で酸素4L/分で流して」なんてのを聞くと思います。

さて、これは低流量なのでしょうか?高流量なのでしょうか?

 

人間が息を吸う時、1回の呼吸にかかる時間を意識したことはありますか?

大体吸気1秒、呼気2秒なんかと言われますが、その1秒の吸気の間に約500ml(ミリリットル)の空気を吸い込みます。

1秒で500mlなので、1分(1秒×60)で30000ml(500ml×60)=30Lという計算になります。

 

1回の吸気で500mlは必ず吸わなければならないため、この500ml/秒(つまり30L/分)を超える量の酸素(O2)を供給してあげると、息を吸った時に、理論上は人間は酸素のみを吸うことができます。

しかし、これよりも少ない量の酸素を供給すると、息を吸う時には供給される酸素だけでは足りず、口の周りや口腔・鼻腔内にある空気(大気)を吸うことになります。

 

前置きが長くなりましたが、この違いが、『低流量』と『高流量』の違いなのです。

医療機器では「○ml/秒」よりも「○L/分」で表されることが多いため、ここからは30L/分で話します。

つまり、高流量とは、30L/分以上の流量で酸素を供給するシステムのことであり、

低流量とは、30L/分より少ない流量で酸素を供給するシステムのことです。

今回はザックリここまでを理解できていればOKです。

ということなので、例として挙げた「酸素カヌラ(カニューラ)で流量1L/分」というのは、『低流量』システムであるということが分かると思います。

 

この違いを理解しておくことで、ネーザルハイフローやベンチュリ―マスク、インスピロンネブライザーなどの仕組みが理解しやすくなります。

これらは全て高流量システムの代表的なものです。

 

 

また、話はかわりますが、似た言葉に『流速』という言葉があります。

簡単です。これは上記の『流量』の概念を、「速さ、スピード」の観点から考えたものです。

 

小学校の算数で習った「は(速さ)・じ(時間)・き(距離)」の法則を覚えていますか?

 ・速さ=距離/時間

 ・距離=速さ×時間

 ・時間=距離/速さ

 

この式のことです。人間の呼吸に関しても、この式を応用することができ、

流量「30L/分」つまり「500ml/秒」とは、吸気における時間を1秒とすると、口元を流れる空気500ml分を、1秒間で通過させるということなので、

500ml/秒の速さで空気が口元を通り過ぎていくということを表しています。言い換えると、これは吸気の速さを表します。

 

つまり何が言いたいかというと、

『流量』も『流速』も単位時間(1秒や1分)における、空気の流れる量に関して、

それぞれ、「量」から考えるのか、「速さ」から考えるのかという違いだけで、同じ単位のものを別の側面から見ているにすぎないのです。

 

 

ここで話が戻ります。

先ほど、ネーザルハイフローやベンチュリ―マスク、インスピロンネブライザーといった訳が分からん機器名が登場しましたが、これらは全て高流量システムの代表的なものです。

高流量システムだと何がメリットとなるのか。詳しくはまた後日書きますが、高流量システムでは、吸気の流量(流速)を設定することができるのです。

そうすることで、患者さんが吸う酸素の『濃度』を設定することができるため、病態の把握・評価や患者管理がしやすくなります。

 

ここまでで流量の話は一度ストップとなります。

今度のトピックでは酸素の『濃度』について説明していきます。