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【奇界遺産3 / 佐藤健寿さん写真集】 コロナ禍において余計に際立つ世界のおもしろさ

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2021年5月19日、佐藤健寿氏の7年ぶりとなる人気シリーズ写真集『奇界遺産3』が発売となりました。

クレイジージャーニーでも取り上げられた「バーニング・マン」や「クラウン・モーテル」、「ハイエナマン」など計50以上の事物が掲載されています。

 

本書の構成としては

  • 「奇態(STATES)」
  • 「奇矯(PLACES)」
  • 「奇傑(PEOPLE)」
  • 「奇物(THINGS)」
  • 「奇習(CUSTOMS)」
  • 「奇怪(STRANGENESS)」

の6章に分かれています。

 

それぞれの奇界遺産ごとに4ページ程度が割かれており、写真とそれにまつわるエピソードなど著者のエッセイで構成されています。

エッセイがとても面白く、ドライで力の抜けた筆致が妙に引き込まれます。

もちろん写真も見事ですが、エッセイまで読み込むと世界観や見聞がかなり広がるため、写真集としての本ではなく、読み物としても充実しています。

また、挿絵や裏表紙のイラストはあの『AKIRA』の作者である大友克洋先生が担当されています。

 

本の中の記載にもありましたが『奇界遺産(無印)』では南北アメリカやアジア中心のものが多く、『奇界遺産2』ではヨーロッパや西アフリカ、中東などのものが多く収められていました。

 

今回の『奇界遺産3』では、TVメディアで紹介されていたものも含め、どのページを切り取ってもハイライトと呼べるような、規模感が大きくて目を引くものが多い印象です。

  • TBSのクレイジージャーニーで紹介された、砂漠の中に1週間だけ形成される架空の街の奇祭「バーニング・マン」
  • 廃車がピサの斜塔のように無数に地面に突き刺さる「インターナショナル・カー・フォレスト」
  • ピエロだらけの世界一恐ろしい宿泊所「クラウン・モーテル」
  • トナカイと暮らし、生きるために一滴の血も流さずにその肉を食す北極の遊牧民族「ネネツ」
  • 木に吊るされた人形が無数に蔓延る世界一不気味な「人形島」
  • 目下5m先でマグマが渦巻く溶岩洞「エルタ・アレ」

などなど目を引くものばかりです。

 

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(公式HPより引用)

 

今作は過去作の中で最も多く日本の奇界遺産が含まれており、「軍艦島」「かかしの里」「イタコ」などの写真も見られます。

軍艦島」はテレビ朝日の「サンドウィッチマン芦田愛菜の博士ちゃん」というTV番組でも取り上げられていましたが、この本でも佐藤健司氏所有のドローンによる空撮写真も数多くあり、ツアーなどでは決して入ることのできない箇所の様子も窺い知ることができます。

 

個人的に見どころだったのは、「北朝鮮」の様子と、遺体を屋外に放置してその経過を法医学的・人類学的に研究するための「ボディファーム」という研究施設です。

表紙はおそらくマスゲームの様子です。

今作はそれこそ風光明媚な観光地の写真は一切無いし、「クエヴァ・ヴェンタナ」のような多少でも絶景と呼べるような単純に心を打つようなものもありません。

代わりに「北朝鮮」「軍艦島」「ネネツ」「バーニング・マン」「ボディ・ファーム」など、行きたくても行けない、直接見たくても見ることができない項目がかなり多岐に渡っている印象で、とても読みごたえがあります。

 

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近年テロリズムや紛争などによりかつては普通に訪れることができた場所が、政情の不安定さのために距離以上に遠い存在となってしまっています。

アレシボ天文台の崩壊が報道されまだ耳に新しいですが、「軍艦島」などの廃墟もいつ崩壊してもおかしくないと言われています。

今しか見れないものが世界には沢山あります。

今すぐにでも海外旅行行きたいですよね。

プラスにもマイナスにもアップデートされ続けるこういった文化や歴史の遺産への接触は、COVID-19の流行によりさらに遠いものとなってしまいました。

しかしながら、このコロナ禍においてこういった書籍を読むことで世界との接続を多少は保つことができますし、奇界遺産という「余計なもの」が持つエネルギーは今後のCOVID終息後の世界に対する期待と鼓舞をもたらしてくれると思います。

終息後の世界の「再生=ルネサンス」を願って、今はそのための英気を養っておきましょう。

 

以前出版された著者のおすすめ写真集や書籍についても紹介していますので、良ければそちらもご覧ください。

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