作詞した人物が何をもってその花をタイトルに冠したのかは不明ですが、まつわるエピソードがあったのか、花言葉から連想したのか、または適当に曲の雰囲気に合いそうだったからなのか、と色々考察しながら曲を聴くのも楽しいもんです。
マリーゴールド / あいみょん
このマリーゴールドで一気に現代の歌姫とも言えるほど有名になりました。クセのある歌声もシンプルでストレートなメロディと歌詞も、ミュージックビデオのビジュアルもタイトルも全てがバランスよくまとまった作品だと思います。ノスタルジーでロックっぽいところもあり、スピッツを聴いているような感覚になりました。ちなみにマリーゴールドは「悲しみ」「嫉妬」「絶望」という花のイメージとはギャップのある暗めの花言葉を持ち、色によっても意味が変わるそうです。
サボテンの花 チューリップ
江口洋介や福山雅治といった、今や芸能界の大御所が軒を連ねた伝説的月9「ひとつ屋根の下」の主題歌となったいわゆる懐メロ曲です。財津和夫の優しい歌声が印象的なこの曲ですが、実家のサボテンに花が咲いているのを見て、サボテンて花が咲くんだと知ってタイトルを付けたそう。
カキツバタ / Pii
それまで青髪であること以外は正体不明の覆面アーティストとして活動していた「Pii」でしたが、2022年11月10日のミニライブでAwesome city clubの女性ボーカルPORINであることを表明。「シン・カヨウキョク」というエヴァみたいなコンセプトを標榜して行うソロ活動「Pii」では、90年代の歌謡曲を彷彿とさせたり、ジュディマリ時代のYUKIを思い出したりするようなどこか懐かしさを感じるサウンドの曲が多く、あのオザケンが惚れ込んでカバーしたことでも有名です。カキツバタの花言葉はこの曲の歌詞にもあるように「幸運は必ず訪れる」「高貴」など。
さくら / ケツメイシ
「さくら」の曲は森山直太朗さん、コブクロ、河口恭吾さん、ファンモンなどなど有名なものが多いですが、私がさくらと聞いて一番先に思い出すのはケツメイシ。なぜならミュージックビデオの鈴木えみが美しいから!笑。まだ冬の寒さがちょっぴり残る、なんともいえない春の寂しい感じがたまらず、桜の花の香りが漂ってきそうな臨場感を持って聴くことができる名曲だと思います。さくらは種類によって花言葉が異なるようですが、よく見るソメイヨシノは「純潔」「清純」「優れた美人」、ヤマザクラは「あなたに微笑む」「高尚」などです。
ひまわり / 遊助
2000年台の夕食のお茶の間を席巻したTV番組「クイズヘキサゴン」で生まれた上地雄輔の音楽プロジェクト「遊助」のデビュー曲です。当時バカ売れしていたGReeeeNを連想させるかのようなシンプルで中高生受けしそうな曲は、おバカキャラで売り出していた部分とマッチして、その拙さがかえって個性的な魅力となっていました。爽やかでシンプルに良い曲だと思います。
ばらの花 / くるり
メンバーが変わりすぎて、この人本当にくるりの人?とシングルが出るたびに要確認な業界古参バンドです。スーパーカー、中村一義、NUMBER GIRLらとともに「97の世代」とも呼ばれた、現在の音楽・バンドシーンの礎を作ったともされる生ける伝説のようなバンドで、岸田繁と佐藤征史という本物かつ変態的(いい意味で)な音楽家を中心に構成され、音楽性の幅が広すぎてジャンルで括れないほど色々な曲があります。ばらの花という楽曲は色々なところでタイアップが付いていたりするのでどこかで聴いたことがある人も多いはずです。スーパーカーのフルカワミキがコーラスで参加もしています。バラは本数で花言葉が変わり、「愛」「ひとめぼれ」「情熱」など様々あるようなので気になったら調べてみてください!
ハナミズキ / 一青窈
9.11として記憶に残るアメリカ同時多発テロの際に、アメリカの友人から受け取ったメールをきっかけに生まれた曲とのことです。歌詞を紐解いていくと、テロで亡くなった母から子へ贈るメッセージが込められています。両親の死や某音楽プロデューサーとの不倫などもあって波瀾万丈な人生を贈る一青窈の、人生における両親のことや自身の子への思いも込められているような深い曲です。一青窈とハナミズキについて私個人的には、TVか何かの生歌番組で、サビ前のフレーズをキムタクみたいに「お先に・・・・」とたっぷり溜めた後、「おゆきなっさ〜〜い」と独特のアレンジで歌い上げたのが衝撃(悪い意味で)で今でも記憶に残っています。ハナミズキの花言葉は「永続性」「返礼」「私の想いを受け取って」なので、歌詞とリンクするところがありそうです。
楓 / スピッツ
所謂失恋ソング。楓という彼女がいたのか、「大切な思い出」「美しい変化」という花言葉の楓からイメージされるのかは分かりませんが、全体を通して哀愁たっぷりなターンが続きます。ある考察ブログでは後追いをする男性のことを書いていると考察している方もいましたが、改めて楓のミュージックビデオを見ると、3Dゴーグルや青い草野さんの顔などにはどこか不気味さを感じ、これを走馬灯と表現している説も妙に頷けました。ともあれボーカルの伸びの良すぎる歌声にはいつ聴いても魅了されます。
ハルジオン / YOASOBI
橋爪駿輝の小説『それでも、ハッピーエンド』をテーマに制作された3つ目の配信シングルです。ハルジオンの花言葉は「追想の愛」であり、まさにその言葉通りに過去の恋愛について曲が進行し、これからに目を向ける主人公が描かれています。貧乏で手入れの届かない家の庭にも咲く花という意味が転じて、ハルジオンは「貧乏草」とも呼ばれるのですが、そんなある種「ちっぽけ」な思い出にいつまでもすがるべきじゃないよという隠れメッセージも込められている気がします。
レモン / TOMOO
レモンといえば米津玄師ですが、それじゃ普通すぎてつまらないので、マイナー所で橋本環奈似の女性シンガーソングライター「TOMOO」を。顔からイメージされる歌声よりも数オクターブ低い素敵な歌声で、iriを初めて聴いた時のような衝撃を受けました。歌詞に夜の風景が出てきますが、夜中にウイスキーでも飲みながらしっぽり聴くと、レモンみたいに酸っぱくてでも爽やかな香りと風をまとって寝床に就くことができると思いますよ。
紫陽花の詩 サスケ
サスケのことを「青いベンチ」だけの一発屋と思っている方もいるでしょうが、「卒業の日」「虹を探すひと」など他にも名曲と呼べるものが何曲もあります。2009年に解散し、2014年に再結成。顔出しもして19っぽいディオバンドとして音楽活動を行なっています。この曲は個人的には、伝説の「雨宿りソング」としてマイ名曲ライブラリーに殿堂入りしているのですが、大人しいフジファブリックみたいなイントロから始まり、しとしと降る雨が想像される綺麗な一曲です。好きな人と話をしたいのに、イジられるのが嫌で学校ではあまり話せず、帰り道に突然降り出した雨の中で偶然同じ図書館の屋根の下に雨宿りし、そこで学校では話せないことを話したりした、いつかの雨の多い紫陽花の咲く6月を思い出す、そんな曲です。
ネリネ / KANA-BOOM
尾崎世界観と並ぶレアネームの谷口鮪(まぐろ)がボーカルを務めるカナブンの疾走感溢れる再出発ソングです。ネリネは10〜12月にピンクや赤の花を咲かす植物で、花言葉は「また会う日を楽しみに」です。失恋なのか、卒業なのか分かりませんが、新しい自分に挑戦する勇気の出る曲です。
蒲公英-たんぽぽ- / 19
たんぽぽの種が、着地した場所を問わずに花開くように、どんな環境でも少しずつ頑張れば良いんだよというメッセージを、渡辺和子氏のように、さらによりポップに教えてくれる応援歌です。19の2人もそれぞれの場所で咲くことができたら、またいつか2人でステージに上がり、あの激しい前後運動を私たちに見せてほしいです。
ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ / 松任谷由実
ダンデライオンはタンポポのことですが、そんなタイトルの曲といえばバンプや毛皮のマリーズが思い出されますが、やっぱりユーミンを差し置いては語れないでしょう。ミュージカル主題歌として原田知世へ提供した曲をセルフカバーしているものですが、歌詞はミュージカルにおける登場人物のあしながおじさんとのエピソードを彷彿させるものとなっています。
プルメリア 〜花唄〜 / Apua Timez
大切な人へ贈るシンプルな恋愛ソングだと思います。花言葉は「気品」「陽だまり」「恵まれた人」。
午時葵 / Helsinki Lambda Club
あまり聞き慣れないゴジアオイという花は、気候的に日本に合わず主にヨーロッパで生育されており、ロックローズとも呼ばれます。茎に揮発性の油分を含むため、気温が30〜35度を超える日には周りを巻き込んで自然発火し、耐火性のある種だけを残して世代交代をする珍しい植物です。ポケモンのマルマインのだいばくはつみたいな感じです。花も、正午に咲いたら夕方には萎んでしまいます。学名はCistus albidus(上記Apple Musicのリンクは英語になってしまうのでご心配なく)で、花言葉は「私は明日死ぬだろう」という恐ろしいものです。こうしたちょっとクセというか怖さのある花がタイトルに冠されているだけあって、メロディこそポップですが、曲の歌詞は死や薬物を連想させるようなものであり闇が深そうな内容です。バンドのボーカルで作詞作曲をした橋本薫ご自身がnoteで曲解説を行なっているので、気になった方はそちらも見てみては。
MINT / suchmos
落ち込んだ友人を励ます曲と言われています。ミントの爽やかさを感じるクールな1曲。ジャズ奏者ルイ・アームストロングの「Such a mouth!(サッチモ)」にバンド名が由来するとされるSuchmosですが、2021年2月の活動休止と、その後のベーシストHSUの死去など不幸な変遷を経た今、思い出の中にある彼らの輝きをこの曲に縋る方も多いのでは。ミントにも花言葉があり「美徳」「効能」とか、ペパーミント・スペアミントは「感情のあたたかさ」といった意味もあるようです。
百日紅 / YUKI
百日紅と書いて「さるすべり」と呼びます。爺ちゃん婆ちゃん家の庭によく植えてある木で、初夏から秋にかけて鮮やかなピンクや白の花をつけます。演歌のようなタイトルですが、この曲はクリープハイプの尾崎世界観との共作です。歌詞は生生しいですが、大人になったYUKIの表現豊かな歌声をしっとりと聴くことができるとても良い曲ではないでしょうか。
イランイラン / マカロニえんぴつ
業界各所から評価されることが多いマカロニえんぴつの一曲。イランイランの花言葉は「誘惑」「乙女の香り」であり、おそらく男か女のどちらかが浮気しちゃったんでしょう。そんな曲です。
Daisy / dustbox
ハイトーンボイスで流暢な英語が繰り出される超アップテンポが特徴的なバンドdustbox。一度メジャーデビューしてからまたインディーズに戻るという面白い経歴を持ち、ハイスタ・エルレを始めとするメロコアやポップパンクと呼ばれるような全詞英詞で歌うバンドが大流行した時期のバンドの1つです。あの頃で言えば英語の流暢さもOCEANLANEやBOWWOWなどに並ぶくらい上手いんじゃないかと思っています。
デイジーは「ヒナギク」のことであり春に咲く花ですが、日本の気候では屋外で夏を越すことができないという特徴を有しています。その部分とリンクしてなのか、この曲は「Daisy is blooming(デイジーが咲いてる)」という出だしで始まり、あっという間に1日は過ぎるからやりたいことを今の内にやらなきゃ!というような歌詞を歌っています。花言葉も「希望」というものがあるので、アップテンポな曲調とお似合いな前向きになれる応援歌です。
朝顔 / 折坂悠太
「朝顔」は、日没から9〜10時間後に咲くと言われていますが、あの大震災から10年とはいかないまでも、奇しくも多くの人にとっての夜が少しずつ明け始めていた2019年に放映となったドラマ「監察医朝顔」の主題歌です。ラジオ体操に通った、あの夏のまだ涼しい時間帯であるしっとりした朝の雰囲気たっぷりに、少しずつ陽が登っていくのを連想させるかのような立ち上がりから、最後も最後のパートで一気に転調しますが、そこもまた花がパッと咲いたかのような夏の花らしさを感じることができて面白いです。
トルケスタニカ / Hi-Fi CAMP
聞き覚えのない名前の花ですが、原種系チューリップでミニチューリップとも呼ばれています。可憐で白い小さい花を咲かせるこの花は「失恋」という花言葉を持ち、その通りの失恋ソングとなっています。気持ち良すぎる高音ボイスなのでサッパリ聞くことができますが、結婚式の招待状にこの花を添えて返信した、みたいな歌詞があったりと一歩間違えればストーカーなんじゃないかと思うほど未練たっぷりの曲に仕上がっています。大丈夫です。ちゃんと名曲です。
りんどう / WANIMA
シャンシャンシャンシャンというハイハット4拍から始まる楽曲が多い中、SNOW以来ではないかと思われるスローテンポのバラードロック。3人の地元である熊本にも咲く花であるりんどうをテーマにした応援歌です。りんどうは群生せずに単独で咲き、段を重ねるように青い小さい花をつける一方で大地にしっかりと根をはって強く生きる花です。泥臭くても良いので強い気持ちで生きていくことの大切さを説いています。
Casablanca / WHITE ASH
2017年に解散してしまいましたが、最高にクールな「のび太」が日本語詞にまでリエゾンを効かせて歌い上げるのが特徴的な、見ても聴いても楽しめるバンド「WHITE ASH」。結婚式などにも用いられるカサブランカの「高貴」「純粋」といった花言葉とは対照的に、どこか暗い部分のあるヘビーなロック調の一曲です。2013年のJRA公式CMにて、シンボリルドルフのタイアップ曲として選出されて一時話題にもなりました。
Tangerine / Luby Sparks
RIDE、Slowdive、My Bloody Valentine、Swervedriver、LUSHなどのシューゲイザー全盛当時の影響をかなり受けていると思われるバンドです。ジャケットのセンスといい流暢な英詞といい、海外のバンドと遜色のないお洒落さですが、ボーカル含めて日本製のバンド。DYGLもしかり骨太なバンドが日本からかなり出てきておりバンドブームの再来と呼ばれているのも頷けるのではないでしょうか。Luby Sparksは初代のボーカルが脱退し、現在はErika Murphyをビジュアル面も含めたメインパーソンとし、そのキラキラとしたポップさを兼ね備えている楽曲からドリーミングポップなどとも呼ばれています。初期のスーパーカーを彷彿とさせるツインボーカルも魅力です。
タンジェリンとはオレンジの仲間の柑橘のこと。オレンジの実にも「美しさ」「優しさ」という花言葉があります。「Tangerineと呼んで、と彼女は言った」というフレーズが特徴的な、オレンジの髪色をした女の子との短い恋愛模様を歌った曲です。
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