親孝行したい時には親は無し。感謝の言葉を口にするのが難しい時は、感謝の曲でも贈って一緒に聴いてみませんか。
To Mother / YUI
歌姫戦国時代であった平成を代表するシンガーYUIの母の日ソングは、シンプルに母親への感謝を歌ったものではあるのだろうけれど、何も考えずに聴くとちょっと不思議な感覚に陥ります。誰かの気持ちを考えた時に逆説的となる感情、そんな複雑な歌詞を紐解きながら聴くとより一層感情移入できるかも。アイドル路線が嫌だったとも言われているYUIの一筋縄ではいかない部分が垣間見える好きな曲です。また、インタビューで本人が答えるところによると、母親だけでなく自分を育んだ全ての偉大なものへ贈る曲として書かれたものなのだとか。
あなたのように / DREAMS COME TRUE
具体的な歌詞からは、おそらくVo.吉田美和が母親に対して贈った曲だとは思われますが、父親の姿を想像する人もいるでしょうし、祖父母や兄弟を思い出す人もいるかもしれません。尊敬する誰かを想いながら聴きたい曲です。ちなみにMusic Videoは切り絵やシャドーボックスのようなものを用いた時間の流れを感じさせる不思議な作品となっておりそちらも必見。
親知らず / チャットモンチー
親知らずが生えてきた。と、正常に生えてくれないことが多い煩わしい奥歯ですが、たまには両親に顔でも見せてやれよ、と定期的に感謝することの重要性を私たちに気付かせてくれる役目もあるのかもしれません。ちなみに私は親知らずが5本埋没しており、全身麻酔で一気に抜きました。相当感謝する必要があるみたいです。
父母唄 / GReeeeN
GReeeeNは「遥か」なんかも感謝の歌ですが、卒業式のイメージが強いのであえてこちらを。
練習して自転車に初めて乗れた日、夕立の中を車で迎えに来てくれた夏の日、部活帰りで遅くなってもご飯を用意して待ってくれていたあの日、喧嘩して言い合いになった日、などドラマチックではない日常のやりとり全てが贈り物であり、これからの人生で何かを返していきたくなる気持ちにさせてくれるそんな曲です。
ママへ / AI
母親は鹿児島県では有名人の植村バーバラ氏。R&Bやゴスペルをルーツとした高い歌唱力は言わずもがな。どストレートにお母さんへありがとうを伝えるならこの曲でしょう!
それと、全国のお父さん悲しまないで!・・・・・「パパへ」もあります。
未来へ / Kiroro
マインドフルネス瞑想で自身を第三者的視点から俯瞰しているがごとく、まるで神の視点から語られるように展開していく歌詞は、いったい誰から見たものなのかと考えた時、今の自分が過去の自分へ母への感謝を忘れずに生きろ!と歌っているのではないか、と考えるととてもしっくりきたのでそう考察していました。ですが、この曲はボーカルの玉城千春が中学3年生の時に作ったものだということを知りました。両親への気持ちを含めて、現在の自分を見直すための戒めの曲だったのかもしれません。
アンマー / かりゆし58
世界中に「アンマー」というワードを知らしめたバンドとしても有名なかりゆし58。アンバーは琥珀、ハンマーはザコシ、カンマーもザコシというのはさておき、「母親」を意味するアンマーというこの曲。沖縄の風を感じるポップな曲調とは裏腹に、画素数の高い風景がフラッシュバックする重厚な歌詞も聞きどころです。「島唄」「島人の宝」「涙そうそう」などに並ぶ沖縄発の超名曲だと思います。
手紙 / back number
具合が悪くなった時にはVo.清水依与吏さんの家は生姜とハチミツだったようですが、私の家ではりんごのすりおろしを作ってくれました。すっ転んで膝をすりむいて帰った時には私の家ではマキロンが出てきました。低学年の帰り道には信号の角で手を振って待っていてくれたのは清水家と一緒です。思い出補正されてプレミアが付いているのは抜きにしても、愛されていたんだなあとそんなことを思い出させてくれる一曲です。
くるり / Remember Me
あのOasisのオマージュかとも思えるイントロから始まるメロディにまずひと泣き。幼い頃の風景をなぞって展開していく歌詞にまた泣き、味噌汁からのトランペットソロに泣き、Music Videoを見てまた泣く。くるり節を味わったのなら、たまには実家に帰りたくなること間違いなし。ハンカチやティッシュを準備してから聴きましょう。
愛をこめて花束を / Superfly
私が初めてSuperflyを見たのはまだTV全盛時代の何かの特集で、その時はボーカル・ギターの2人組でした。「ハロー、ハロー」と伸び良く歌うジャニスジョプリン風ボーカルに技巧派ギターのユニットでしたが、再びTVドラマ「エジソンの母」で話題となり、歌番組で見た時にはボーカルのみ舞台に上がるソロバンドに。ELTみたいなもんかと思っていましたが、結果として大ヒットしたこの曲は感謝を「ありがとう」で表現せずに「花束」で表現した一曲。フジファブリックの金澤ダイスケと結婚し、母親となった現在の越智志帆が改めて歌うこの曲は、以前よりも歌詞以上の愛や深みがあるように感じます。個人的には、旧スーパーカーのいしわたり淳治が作詞に携わっているのも注目ポイントです。
カーネーション / 椎名林檎
綾野剛の出世作となったNHKの朝ドラ「カーネーション」の主題歌となった同曲、リアルタイムで見ていた私にはデザイナー・コシノ三姉妹の母親である小篠綾子を演じる尾野真千子の姿が自然と思い出されます。飾り気の無い当たり前の愛するという行為、その難しさを歌っているようです。東京事変が活動休止中でありながら、彼らが楽器隊を務めたことからもこの曲に対する本気度が伺えます。
50歳のロングヘアー / GOOD BYE APRIL
山下達郎ナイズされたシティポップとともに2023年にメジャーデビューしたバンド「GOOD BYE APRIL」。「さよならのいきもの」「リップのせいにして」などロックバンド界隈のジャンルで括られていた時期の名曲です。この曲はYouTube上でDemo曲としてアップされているのみで、実は音源化されていない幻の曲で、知る人ぞ知る裏メニュー的存在。私はこの曲が母の日ソングとして最も良い曲だと思っています。まだ聴いたことの無い方は必聴です。サザエさんやコナンは歳をとりませんが、私たちはいつしかタラちゃんの年齢を超えて、カツオを超え、マスオに並んでいく。歳をとるにつれて言う機会は減るかもしれませんが、「ありがとう」の感謝は伝えられる時に。