フォトグラファーの佐藤健寿(さとうけんじ)さんをご存知ですか?
TBSのバラエティ『クレイジージャーニー』にも、丸山ゴンザレスさんとツートップを飾るゲストとして出演されていました。
世界各地における奇妙な建築・風景・文化や、UFOなどの一見するとオカルトチックな題材をカメラに収めることで有名で、昨今の廃墟ブームの先駆けの一人でもあります。
そんな佐藤健寿おすすめ本を4冊ほどご紹介していきます!!
佐藤健寿おすすめ本4選【クレイジージャーニーでおなじみ!】
そんな佐藤健寿さんですが、著書もいくつか出版されています。私はほとんど読ませて頂きました。その中で、私が読んで特に良かったものを紹介させて頂きます。日本にいるだけじゃ、それどころかインターネットを使ってすら、まだほとんどアクセスすることができない情報ばかりです。小さい頃に感じた冒険することのワクワク感とか、男のロマンとか、久しぶりに味わいたいな~という方にはぴったりの書籍が数多くあります。海外旅行に行けないこのご時世に、考え方や見聞を広くしたい時に、ぜひ。
書籍なので中身は紹介できませんが、紹介だけでも人によってはネタバレになる箇所がもしかしたらあるかもしれませんので、ご注意下さい。
①奇界遺産シリーズ
◆2010年1月発行、2014年3月発行、2021年5月発行 エクスナレッジ
代表作といえる書籍で「奇界遺産」は彼が作った造語です。
世界の絶景100選集めてみました!的なノリの本とは一線を画します。図鑑のサイズで厚みも2~3㎝とそこそこありますが、子供に図鑑として見せるのもちょっと違うかなと思います。遺跡などの文明的建築物、寺、オカルト、SF、オーパーツ、インディジョーンズ、アウトサイダーな博物館などが好きな方、ロマン家な大の大人が酒でも飲みながらゆっくり見るのに適してると思います。世界各地の秘境と呼ばれる場所も、段々とネットやTVで紹介されるようになってきていますが、絶対にTVの取材が行かないような場所も含めて約50カ所近く『奇界遺産』が掲載されています。
写真も然ることながら、そこに添えられているエッセイがまた「妙」です。ドライな筆致ですが、その写真を撮った時の感情や面白エピソードなんかも知ることができます。良い意味での言葉が巧みさにより読み物としても充実しています。作者は文明や史実、経済、オカルトなどにも幅広く精通されており勉強にもなります。
『1』ではまずフランスのラスコーの壁画を取り上げ、呪術的思想であるいわば「余計な事」がどんな意味を持つのか、それをこの本の中で世界各地の現物・遺物を元に考察されています。『2』では科学と芸術の共通点から奇界遺産について述べられています。
また2021年5月には『奇界遺産3』も発売されました。COVID-19が流行したことで、旅の中断を余儀なくされた作者。くしくもそれにより、佐藤さんの目を疑うような旅路の数々を、この本が新たなマイルストーンとして私達のもとに届けてくれました。
この書籍達に書かれていることは、知らなくても生活は困らないことばかりです。しかしながら、ページを捲る度に目に飛び込んでくる画像はとても無視できないほどショッキングであり、世界の面白さを教えてくれます。1冊(×3)読み切るのは良い意味で体力要りますよ。ディープなショートショートを読んでいる感覚に似ています。
②Ruins of the World 世界の廃墟
◆2015年1月発行 飛鳥新社
本のスタイルは写真+エッセイという様に他の書籍と同様ですが、これは廃墟や建築物に焦点を当てて纏められています。
表紙の『ブルガリア共産党ホール』をはじめ、地下火災が50年以上続いているペンシルヴェニアの街『セントラリア』、大戦により一夜で人間が消えた街『オラドゥール=シュル=グラヌ』、地図から消されたウサギが占領する島『大久野島』など、RPGに登場するかのような廃墟・史跡の数々がお目にかかれます。
経済・天災・戦争・事故などによって文明の興りと、その終焉がターンオーバーしていく儚さも見て取れます。世界でも有名な日本の『軍艦島』も載っています。
③奇界紀行
◆2015年12月 KADOKAWA/角川学芸出版
ハイパー知る人ぞ知る系の雑誌『怪』に連載されていたコラムを中心に、その他の雑誌に寄稿されていたエッセイやコラムを纏められたものです。挿絵として写真もわずかに掲載されています。人類史のパラダイムシフトをひっくり返すかもしれない『ギョベクリ・テぺ遺跡』、呪いの残る『ナン・マドール遺跡』など読み物としてとても面白いです。
私はこれを台湾へ一人旅に行く前にKindleで購入しました。行くところは大体決まっていたのですが、メジャー観光地だけでなく、この本にある超マイナーな山奥の寺にも行ってみようかとも考えたりしました。また、ビンロウ(檳榔)という嗜好品(詳しくは調べてみて下さい)があることを初めて知り、それを売っているビンロウ西施(せいし)も旅行先の候補に入れました。
が、なんと運悪くCOVID-19流行。結局台湾へは行けていないので、今度行けるようになったら行きたいと思います。
④TRANSIT 佐藤健寿特別編集号 美しき不思議な世界
◆2016年1月発行 講談社
お洒落旅行誌で有名なトランジットの、佐藤カラー満載の特別編集号です。まず紙の質感が良く、写真がとっても綺麗です。全体的に明るい雰囲気で、アイランドホッピングなんか、一緒に旅している気分になります。プエルト・リコの『クエヴァ・ヴェンタナ』の見開きと、微笑み大国ブータンの理想と現実についての章、日本人が一人で住む島『ジープ島』などが個人的には印象に残っています。
この間崩壊してしまったアレシボ天文台についても少し記載されています。
また佐藤さんの本には高確率でチェルノブイリとそのお膝元にあるプリピャチの街が出てきます。原子力しかり、化学が進歩し続けることに対する考えも深まるかもしれません。
おわりに
5Gやいずれ6Gの回線が世界を飛び交い、インターネットに乗れば片手で世界を旅できる時代になりましたが、画面の上の無機質な情報では、自分の人生に干渉するような感動や出会いはできません。感動というレッテルが貼られた上辺だけの世界じゃなく、文明・分化の栄枯盛衰、地球と宇宙のロマン、肌をもって感じることができる息を吞むような佐藤さんの写真に、彼の言葉を乗せて語られる不思議な世界は、自分の足で冒険することの楽しさをまた思い出させてくれる気がします。コロナ明けたら早いとこ旅行いきたいですね。