「今夜はなんかドラマチックなことが起こりそうな気がする。」
夜に向かうにつれてワクワクが増してくる夜型のあなたにオススメな邦楽曲をチョイスしました。
夜に駆ける / YOASOBI
「アイドル」で世界的に大バズりしているYOASOBIのデビュー曲。当初は小説をテーマに作曲するというコンセプトで活動しており、この「夜に駆ける」も例に漏れません。小説投稿サイトmonogataryに投稿された星野舞夜氏の『タナトスの誘惑』をモチーフとしています。有名な話ではありますが、死が背景にある小説であることからも、夜を隠語としたよく聴くとどこか不穏な歌詞が特徴で、そこに皮肉なほどポップなAyaseメロディと幾田りらの透き通るボイスが絶妙にミックスされた一曲。
クロノスタシス / きのこ帝国
いつからか、すっかり金髪の陽キャになってしまったVo.佐藤千亜妃は同バンドで「金木犀の夜」なんていう名曲も歌っていますが、かつての内省しまくりの時期から抜け出しそうで抜け出していなかった頃の夜の曲「クロノスタシス」にはやはりなんともいえない中毒性があります。映画「花束みたいな恋をした」の中でも、主人公世代のサブカル代表例として菅田将暉と有村架純がカラオケで熱唱する姿が印象的です。
錯視現象の一つであるクロノスタシス的な時間がいつまでも続くことは無く、2019年についにきのこ帝国も活動休止してしまいましたが、コンビニエンスストアで買った350ml缶を持って夜の街を散歩している若者たちが増えたのはこの曲の影響だとかそうでもないとか。
夜空ノムコウ / SMAP
まだ無名だった頃のスガシカオが、移動の飛行機内で大急ぎで書き上げたという逸話が残るSMAP不動の人気曲で、グループ初のミリオンヒットを記録した楽曲でもあります。今やミリオンヒットという言葉すら死後となっていますが、この当時はシングルがまだ直径8cmでした。夜の御茶ノ水公園で語らう男女がモチーフとなっているようです。
アイドルの良さの一つはTVで見れることですが、お茶の間ではキムタクが半テンポ遅らせて歌うのが妙にムズムズしたり、中居君の順番が回ってくるとTVの前が妙に緊張したりしたあの頃を懐かしく思うのは私だけではないはず…。
夜の向こう / ASIAN KUNG-FU GENERATION
名盤「ソルファ」に収録されており、夜の向こうを見据えたような決意を感じるハッキリした曲です。アジカンらしいビートはそのままに、途中から「アアァ〜」がオクターブ高くなるところがミソ。
tonight / スーパーカー
スーパーカーがテクノに傾倒する以前の時期に、荒削りなギターソロといしわたり淳治のライティングが光り、ナカコーとフルカワミキの相容れなそうで妙にマッチするツインボーカルが歌い上げるという今では考えられない王道バラードソングのひとつ。収録アルバム「JUMP UP」は全曲シングルカットできそうな完成度で、毛色は違いますが「(What’s the Story) Morning Glory?」に匹敵するんじゃないかってほど。
仕事終わりだったり、失恋の夕方だったり、家事をサボって外食した帰りだったり、明日の遠足が楽しみでなかなか寝れない布団の中だったり、それぞれの色々な夜に寄り添ってくれるそんな優しさを秘めています。
Party All Night / FAITH
しっとりとした夜は置いておいて、ギャング・オブ・ポップの名のもとに一晩じゅう踊り明かしたいならこの曲を聞けばよし!若々しさとは裏腹に硬派な曲作りをする渋さ。夜中に良質な英詞ポップを聴きたいなら男性ボーカルならFIVE NEW OLD、女性ならFAITHで間違いなし。
長野県伊那市発の5人組バンドFAITHの人気曲。バンド自体はメンバーの脱退を経て、現在は解散してしまっていますが、名曲は現在も地元TV番組でテーマ曲として使われていたりします。メンバーごとにソロで活動したり、ReiRayというバンドを組んでいたりとこれからの活躍が楽しみです。
夜になると鮭は / cero
名盤と名高い「Obscure Ride」の次作として発売されたアルバム「POLY LIFE MULTI SOUL」に収録されている本曲は、アメリカの小説家Raymond Carverの詩を、ピアノと打ち込みによるサウンドを背景とした朗読で村上春樹の和訳を通して展開されています。
夜に聞くと、まるで絵本を読んでもらう幼児のように、自然と心拍数が下がって心地よい眠りに落ちていくような落ち着きをもたらしてくれますよ。
ナイトグルーブ / iri
ハスキーでスモーキーな歌声が特徴的なシンガーソングライター。川口春奈のような見た目でラップもこなすという無骨さにハートを射抜かれたファンも多いはず。
グルーブ感満載のこの曲は真夜中のドライブにピッタリで、自然と体がリズムをとっちゃうナンバーとなってます。
世界が終わる夜に / チャットモンチー
サトエリ主演の映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」のタイアップとして書き下ろされたものです。
駅のホームで人身事故のアナウンスを聞き、1人の人間の不幸を悲しむのでなく電車が遅れることに苛立ちを覚える人々を見てインスピレーションを得たという、ある種人間という生き物の利己的な現実主義を歌った曲のようです。「夜に」という部分がミソで、闇だけでなくその先に明日という光があることを暗示していると個人的には思っています。
夜の踊り子 / サカナクション
「バッハの旋律を夜に聴いたせいです」「僕と花」などに続く、サカナクションがメディアに出始めてノリにノッていた時期の一曲。ダンサブルなエレクトロロックで、途中から雄大なサビに移行する多彩さは山口一郎のストイックすぎる曲作りが垣間見て取れます。Vaundyの踊り子はノスタルジックにしっとり踊る一方で、こちらの踊り子は激しめなダンスが似合う。
YOKAZE / 変態紳士クラブ
変なバンド名選手権(架空)でヒゲダンと肩を並べるかのような二度見すること間違いなしなユニット名ですが、それと見た目からは想像できないほど綺麗で、窓を開けて走るハイウェイで感じるぬるい夜風を思わせるチル曲です。
灯り / ストレイテナー×秦基博
NANO-MUGENで出会った全く別ジャンルの2人が共作したもので、特に冬に聞きたい夜の曲。それぞれの良さが際立っておりクリスマスソングとして聞いても良さそうです!
土曜日の夜 / Fishmans
ロックステディやレゲエをベースにダブ・ファンク・エレクトロニカなどを組み合わせた独自のサウンドは最早フィッシュマンズというジャンル。今は亡き佐藤伸治のボーカルも楽器の一部みたいな独特の雰囲気を醸しています。かの有名な世田谷三部作をはじめ、全体的に夜に聞いたらよく眠れそうなチル曲が多いフィッシュマンズは、他にも「ナイトクルージング」や「夜の想い」なんかの夜の名曲もあります。
途中で挟まれる鐘の音や電子音などの良い意味での雑音が移り変わっていく様が時間の流れを感じさせ、夜が深まっていくのを感じることができます。キャンプの夜にまったり聞くのにピッタリ!
夜想曲 / LUCKY TAPES
夜想曲と書いて「ノクターン」。高橋海・田口恵人・濱田翼の3人からなるバンドで、ソウルやジャズのテイストを織り込んだ楽曲が特徴的です。高音ファルセットが印象的なこの曲は、寝る前に聴くと良い夢が見れそうな優しい夜の曲。
夜ふかし / Laura day romance
Vo.井上花月、Vo&Gt.川島健太朗、Gt.鈴木迅、Dr.磯本雄太からなるバンド。音楽を知り尽くしているんじゃないかと思うほどハモリが美しいツインボーカルと、スピッツや渋谷系、初期SUPERCARを彷彿とするようなトラッドで懐かしいポップスが特徴的。2023年に川島氏が脱退してしまい、いま変化の渦中にいるバンドの一つです。
全曲夜をテーマにしたEP「because the night」では、街の情景や海岸線、恋人を待つ夜など20分間の極上のポップな夜間遊泳に旅立つことができます。
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