ノルウェーは面積約38万平方kmで日本とほぼ同様の広さを持ち、スカンジナビア半島の西側を締める大自然に囲まれた国です。
海岸線には氷河による浸食によって形成された入り江であるフィヨルドが発達し、食はサーモンを代表する魚介の幸が豊富ですし、夜になれば空に浮かんだオーロラに目を奪われることでしょう。
また、北欧のパリとも呼ばれる都市トロムソや、フロム山岳鉄道など、歴史的文化のある街並みを楽しむこともできます。
そんな大自然の中で生み出されたノルウェーの雑貨は、凝った形状やデザインといった、これまでの北欧雑貨に見られたようなユニークさに関しては影を潜めているものの、シンプルでダイナミックなデザイン性を特徴としており、食器やカトラリーなど特に実用性に富んだオシャレな雑貨が沢山あります。
あまり知られていないマイナーなブランドが揃っているため、雑貨に詳しくなりたいのであれば避けては通れない国の1つでしょう。
Darling Clementine (ダーリン・クレメンタイン)
2006年にノルウェーの首都オスロで設立されました。
2人の女性Ingrid Reithaug(イングリッド・ライトハウグ)とTonje Holand(トニエ・ホーラン)によって小さなショップで文房具やホームウェアを製作販売したことがこのブランドの始まりです。
そこから様々なアートやクリエイションに携わり、現在では自社で販売する雑貨のみでなく、ノルウェーではポピュラーな食品やアイスのパッケージなどからも外部受注を受けてダーリンクレメンタインのデザインを発揮しています。
そのデザインは北欧の伝統的なスカンジナビア文化、さらにバウハウス美術学校のような歴史上の古典などからインスピレーションを受けているとともに、現代のファッションや身近にある動植物のモチーフなどを融合させています。
ドットなどの幾何学模様をダイナミックかつカラフルに描いたデザインでありながら、そのポップさを前面に出すわけではなくて、どこかノスタルジックな雰囲気が共存している点が特徴的です。
ダイナミックな配置が特徴的な洋ナシのデザインはアイコンとも言えるデザインの1つですが、見たことがある方もいるのではないでしょうか。
公式サイトはこちら ➡︎ darlingclementine.no
Muffin & Marianne (マフィン・アンド・マリアン)
2011年に設立され、首都オスロを拠点とするブランドです。
MittunとMarianneの2人の女性がチーフを務めるデュオブランドで、独自の北欧っぽさ満載のデザインパターンを持っています。
ポスターをはじめ、トレイやキッチンクロス、ファブリックなどインテリアを支える脇役的存在の雑貨を主役にしてしまうかのような存在感のあるデザイン性が特徴的です。
ドットなどのパターンや色使いによって子供にも人気です。
マフィンアンドマリアンで一番人気なのが「スカウエン」というノルウェー語で森を意味するデザインパターンです。
針葉樹や木の枝、切り株、そして動物たちが絶妙なバランスで配置されたこの柄は、見ているだけでもワクワクするような可愛さと楽しさを秘めています。
Figgjo (フィッギオ)
1941年設立の陶器を専門に扱うブランドです。
陶器でありながらその耐久性の高さが有名で、厳しい検品を乗り越えた食器の数々は、なんとハンマーで叩いたり、投げたりしても割れることが無いと言われます。
コレクターがいるほど隠れた人気ブランドであり、世界中のレストランやホテルで使用される高品質な食器ブランドとしてその界隈では知られています。
さらにその頑丈さから、幼稚園などの食器を割る頻度が高い場所などでも重宝されています。
食器という形に落とし込まれたデザインには、マリメッコのようにデザイナー毎に代表的なパターンがいくつもあります。
例えば、1960年~1980年代にかけて在籍していたデザイナーのトゥーリ・グラムスタッド・オリバーは人気の猫柄シリーズ「モンス」や、雛菊が大胆にあしらわれた「デイジー」、男女や鳥などが可愛らしく描かれた「ロッテ」といったシリーズを手掛けていますし、イーリ・オフテダール・センマは百合の花をモチーフにした「リルヤ」シリーズや、夏を意味する「ソンメル」という爽やかな花のシリーズを担当しています。
環境にも配慮しており、有害物質を排出せず、不良品は再利用するなどのゼロウェイストにも余念がありません。
公式サイトはこちら ➡︎ Figgjo Norway
Biorklund & Sonner (ビョークルン)
世界で最初の「チーズスライサー」というチーズを薄くスライスすることができる調理器具を取り扱うブランドです。
オリンピックも開催された土地であるノルウェーのリレハンメルで修業を積んだトール・ビョークルンが、ナイフでチーズを切ることに不満を持っており、それを改善するために1925年に創業しました。
扱いが難しいとされるチーズスライサーですが、ビョークルンのスライサーは誰でもキレイにチーズを切れると言われています。
創業から100年経ち、現在もリレハンメルの地で累計5000万個ものチーズスライサーを世界に発信しています。
チーズだけでなく、オレンジピールなどもオシャレに準備することができます。
近年では、チーズスライサーでの技術を生かしてサラダサーバーやケーキサーバーなども取り扱いを始めています。
Cathrinrholm (キャサリンホルム)
1827年に製鉄所として創業し、1907年よりエナメル性のテーブルウエアの生産に力を入れ始めました。
1960年にブランドには幕を閉じていますが、その食器は今でも世界中でファンを擁しています。
キャサリンホルムの雑貨は、その中でも蓮の葉のデザインが特徴的なロータスシリーズが人気です。
ノルウェー雑貨全般に言えることですが、北欧他国の有名ブランドの影響か、比較的マイナーであるノルウェー雑貨の多くは、日本での販路はまだ未発達な状態です。
そのため日本での購入が難しいアイテムが多いですが、その分手に入れた時の喜びは大きいハズ。
たまにAmazonや楽天などの通販サイトや、メルカリ・ヤフオクなどで見かけることがあるため、興味がある方は手に入れるためのアンテナを張っておきましょう。
Skaugum (スカウグム)
1943年に設立された、テーブルスプーン・ナイフ・フォークといったカトラリーを専門に扱うブランドで、その品質の高さからノルウェー王室御用達の認定を受けています。
環境に配慮したキボニーという木材を使用しており、使い込むほどにこなれて味のある見た目になっていきます。
全て手作業での作業、刻印入りの本体と細かいところまでこだわり抜かれており、厳しい検品を乗り越えたものだけがSkaugumの名を冠することができます。
現在のところECサイトでの取り扱いが無く、日本では入手困難かと思われますが、メルカリやヤフオクなどにたまに出品されることがあるため、気になる方はチェックを欠かさないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
観光名所が少ない土地をなんとかして褒めたい時に、よく「大自然に囲まれた」などの当たり障りの無い表現を使いますが、ことノルウェーに関しては、大自然のスケールの次元が異なります。
北欧の中でも、とりわけ雑貨のデザインにも自然を損ねないようなシンプルなものを採用しているのがノルウェー雑貨の特徴の一つとして挙げられます。
その一方で、Darling Clementineの洋ナシのポスターに代表されるように、ダイナミックに柄を使用した表現などが多く、シンプルながら存在感のある雑貨を特徴としています。
まるでオーロラのように、カーテンというシンプルな家具が、夜空に浮かぶというダイナミックさを兼ね備えることで途端に神秘的になる。
そんな神秘さもノルウェーの雑貨からは感じることもできます。
寒さや大自然と共存する厳しい環境の中にあっても、幸せを実感できるようなデザインの数々を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
北欧の他国ブランドはこちらから
北欧5か国(エストニア・ラトビア・リトアニアのバルト3国を覗く)の他の国についても雑貨ブランドを紹介しているので、ご興味があれば是非ご覧ください。