闇夜を照らす光は、太古よりやすらぎのためのマスターピースでした。
アウトドアは夜からが本番。災害時にも電気があるだけで安心感は何倍にもなります。
今回ご紹介するブランド「PETZL(ペツル)」とそのヘッドランプ(ライト)は、あなたのこれから先のアウトドアライフ、否、これからの人生における新しい相棒になること間違いなしです!
PETZL(ペツル)のヘッドランプ/ライト「TIKKINA(ティキナ)」をレビュー!
【スペック】 2023年にリニューアル!
今回紹介しているものは2019年モデルですが、2023年に新しいリニューアル版が発売されました!
新モデル(E060AA) | 照射力 | 距離 | 照射時間 |
弱 | 7lm | 10m | 100時間(120時間) |
中 | 100lm | 40m | 10時間(7時間) |
強 | 300lm | 65m | 2時間(3時間) |
旧モデル(E091DA) | 照射力 | 距離 | 照射時間 |
弱 | 6lm | 10m | 120時間 |
中 | 100lm | 40m | 9時間 |
強 | 250lm | 60m | 2時間 |
新モデルでは、電源のタイプ(乾電池orリチャージャブルバッテリー)を自動で感知し、電源によって照射性能が調整される機能が新たに装備されており、単4乾電池3本の場合は上記の表の通りですが、別売りのリジャージャブルバッテリー「コア」を使用すると照射時間が少し変更され、それぞれカッコ内の通り120・7・3時間となります。
- 重量は旧モデルが81g→新モデルで92gとなっています。
- サイズ:本体がタテ4cm×ヨコ5.8cm×厚さ3.5cm、ヘッドバンドは42cm~60cmまで調節可能
- ハイブリッドコンセプト搭載:付属の乾電池3本、または別売りのリチャージブルバッテリー「CORE(コア)」のどちらでも電源供給が可能
- ビームパターン:ワイド
- 耐水性能:IPX4
- カラー:グレー、ブルー、グリーン、レッド
- 価格:税込3850円
新モデルへリニューアルされたのは、他にも「TIKKA」「TIKKA CORE」「ACTIK」「ACTIK CORE」がありますが、「TIKKINA(ティキナ)」のみ注意する点があります。
以下の通りです。
- 電池残量表示のランプが無い。
- レンズ周囲の蓄光リフレクターが無い。
- 本体に被せるとランタン代わりに使える軽量ポーチ「シェルLT」が付属しない。
- 赤色光が搭載されていない。
- 誤点灯防止装置が搭載されていない。
その代わりに値段は安いですし、必要最小限の明るさを有しているため、エントリーモデルとして「TIKKINA」は最適です!
ディティール
紹介するのは2019年モデルですが、おおまかなデザインや機能は新モデルも同様です。
新モデルでの改良点も交えながら見ていきますが、よく分からない方は実際は店頭などで確認してみて下さい!
今回私が購入したのは、初心者でも扱いやすく、値段的にも購入しやすいとされる「TIKKINA(ティキナ)」。
アルカリ乾電池3本も付属しているため、購入してすぐに使用することができます。
アウトドア製品ならではのステッカーも付属しています。
本体の上部はカパッと開くことができ、ここに乾電池をセットします。
また、ぺツルの製品でもあり、充電できるリチャージャブルバッテリー「コア」を使用する場合も、ここに「コア」をはめ込むことになります。
乾電池と「コア」を同時に収納することはできませんので注意が必要です。
ヘッドの部分も角度調節できるので、頭に巻き付けたり、ネックレスのように首から垂らしたりした際に、好みの角度で光が当たるように調節することができます。
旧モデルでは3段階の調節でしたが、新モデルだと自由に角度を変えられるようです。
明るさ
光源上部の電源ボタンを押すことで「弱・中・強」の3段階の明るさに変えることができます。
「弱」では、足元はしっかり照らすことができますが、数m先は暗いままなので、キャンプの際の焚き火や、暗い中で手元を明るくする必要がある作業時などに使用すると良いかと思います。
「中」では、比較的先の方まで照らすことができるため、例えばキャンプの夜中にトイレまで歩く時に使用したりすると便利かもしれません。
実際、私が一番よく使用するのはこの「中」の明るさです。
「強」ではかなり先まで照らすことできます。
光源となる自身の周囲は他のライトが不要となるくらい明るいです。
しかし光の強さは強いですが、連続照射時間が短いため、登山など緊急事態に直面する可能性がある場合には他の上位モデルを購入した方が良いかと思います。
ちょっと分かりづらいですが、並べてみるとこんな感じです。
弱・強に関しては、2023年以降の新モデルの方が明るくなっているので、さらに使いやすくなっています!
PETZLには他にも沢山、色々な機能を兼ね備えたヘッドランプがあります(後の章で登場します)が、焚き火の際の手作業の補助であったり、夜中のトイレに歩くためであったりというキャンプでの用途が中心なのであれば、メインで光源となるランタンなどが他にあれば、ヘッドライトは今回ご紹介している「TIKKINA」で十分です。
ヘッドバンドの取り外し方法(旧モデル)
2023年以降の新モデルでは付け外しが行いやすいように改良されているのでご安心を!
一見するとヘッドバンドが取り外しできなさそうな構造をしていますが、実は本体から取り外すことができます。
汗などで最も汚れる部分でもあるため、取り外して洗濯できるというのはとても衛生的で良いポイントです。
バンドの末端部分がプラスチックによって加工されているので、引っ張るだけでは取り外せないようになっています。
この部分、実は端のプラスチック部分を斜めにして、出っ張り部分を避けるようにして押し込むと、通り抜けられるようになっているのです。
少し力がいりますが、コツをつかむと簡単にできるようになります。
若干、バンドのゴム部分に負担がかかるようになるので、傷まないように使用する場合は、頻回にヘッドバンドの取り外しを行わない方が良いでしょう。
これで取り外すことができます。
次はヘッドランプ本体背面の部分を取り外していきます。
ここも、ヘッドバンド末端のプラスチックがそのまま引っ張るだけでは通り抜けられない構造になっています。
ヘッドランプ本体と本体背面のプラスチック部分は分離できるようになっています。
操作しやすくするために、分離させてから次の手順に進みます。
本体背面のプラスチック部分についても、バンド末端を斜めに通すことで取り外すことができます。
反対側も同様に、バンド末端のプラスチック部分を斜めにしながら本体から外していくことで、ヘッドバンドを取り外すことができます。
今度は逆に取り付けたい場合は、逆の手順で進んでいくと取り付けることができます。
カラーバリエーション豊富なスペアのバンドも販売されています。
そもそもPETZL(ぺツル)とはどんなブランド?
PETZL(ぺツル)は1960年にフェルナンド・ぺツルによってフランスで設立された登山用品、高所作業用品、ヘッドランプを扱うブランドです。
Black Diamond(ブラックダイアモンド)やGENTOS(ジェントス)、Ledlenser(レッドレンザー)などと並び、世界中でヘッドランプのシェアを牽引しています。
ヘッドランプ/ライトを選ぶ際に注意するポイント
ここからは、ヘッドランプを購入予定の方に向けて、ヘッドランプを選択する際に、使用用途に合わせて注意すべきポイントをいくつか列挙します。
- 光の色
- 照射力
- ビームパターン
- 防水性能
- 重量
- 電力供給方法
- 使用適正気温
などです。
光の色
- 白色光:可視光線の全ての波長の色が均等となった光で、最も明るく見える。
- 赤色光:光源を直視しても眩しく感じないため、キャンプサイトや登山ですれ違う際などに使用することで、周囲の人々に迷惑をかけにくくなる。
基本的には白色光メインで、サブ機能として赤色光機能が付属しているパターンが多いです。
照射力(光の強さ)
光の量を表す単位にはいくつかありますが、それぞれ少しずつ表現しているものが異なります。
- ルーメン:「光束」といって、光源から出た光のすべての量を表します。
- ルクス:「照度」といって、光が当たっている特定の場所における光の量を表します。
- カンデラ:「光度」といって、光源から出た光が照らす範囲の中で一番明るい場所での光の量を表します。
PETZL(ぺツル)をはじめとして、ヘッドランプ界隈ではルーメンで表現されることが多いです。
アウトドア活動における明るさの目安としては以下のように言われることが多いです。
- 多人数でのキャンプの際には、ランタンなど「メインの光源」は1000ルーメン程度必要。
- ソロキャンプや「サイドの光源」としては200~300ルーメンあると良い。
- 夜間のトレッキングなどでも100~300ルーメンあれば一応活動できる。
- 明るすぎても眩しいだけなので、最低限の明るさがあれば良い。キャンプでは特に自然の中という趣を感じるためにあえて暗めのものを好む方も多い。
ビームパターン
- ワイド:夜間の調理、焚き火、テントの設営など、手元などの比較的近い場所を幅広く照らすためのもの。
- スポット:一点(狭い範囲)に集中した光によって比較的遠くの特定の場所を照らすためのもの。
- マルチ:ワイドとスポットの中間かつ双方の機能を有しており、走る・歩くといった時に前方を照らすためのもの。
防水性能
「IP XX」で表示される国際規格を「保護等級」と呼びます。IPとはIngree Protection(侵入に対する保護)の頭文字をとったものです。
「XX」の部分には、1桁目には固形物(特に粉塵)に対する保護、2桁目には液体(特に水や油)に対する保護性能を示しています。
PETZL(ぺツル)のヘッドライトには、主に「IP X4(全天候型)」と「IP X7またはX8(防水型)」があります。
重量
軽ければ軽いほど荷物運搬の負担が減りますが、その分機能も低下することが多いです。
電源供給方法
大きく分けて、乾電池を使用するタイプ、充電式のバッテリーを使用するタイプ、USBなどで直接充電するタイプの3つがあります。
ペツルではハイブリッドシステムというものを採用しており、乾電池と別売りのリチャージブルバッテリー「CORE(コア)」の2通りでの給電方法をとる機種が多いです。
乾電池が使用できるタイプだと、電源が切れてしまった緊急時にも対応できるため、安心感があります。
PETZLの選び方 〜商品一覧をご紹介〜
ヘッドランプを選ぶ際の注意点を確認したところで、それを踏まえて「TIKKINA」以外のPETZLのアイテムを見ていきましょう。
クラシックシリーズ
シンプルな機能がゆえ、キャンプやハイキングなどのライトな目的での使用に適した製品です。
TIKKINA(ティキナ) :品番E060AA
今回紹介している製品です。
光の色の種類は白色光のみで赤色光がありません。
照射力 | 距離 | 照射時間 | |
弱 | 7lm | 10m | 100(120)時間 |
中 | 100lm | 40m | 10(7)時間 |
強 | 300lm | 65m | 2(3)時間 |
ハイブリッドシステム搭載で、単4乾電池3本、またはリチャージャブルバッテリー「コア」のどちらでも電源供給されます(コア使用時の性能はカッコ内の数字となっています)。どちらも持っていれば電池切れの心配がなくなります。
- 手元を広く照らせるワイドビームタイプ。
- 耐水性能:IP X4(全天候型)なので少雨は耐えられます。
- 重量:92g
- カラー:グレー、ブルー、グリーン、レッド
- 価格:税込3850円
TIKKA(ティカ) :品番E061AA
赤色光は続点灯もできますし、緊急時に所在を知らせるための点滅機能も付いています。
照射力 | 照射距離 | 照射時間 | ||
白色光 | 弱 | 7lm | 10m | 110時間 |
中 | 100lm | 45m | 12(7)時間 | |
強 | 350(450)lm | 70(75)m | 2時間 | |
赤色光 | 点灯 | 2lm | 5m | 60時間 |
点滅 | 700メートルの距離から400時間視認可能 |
- ワイドビームパターン
- 耐水性能:IPX4
- 重量:94g
- カラー:グレー、ブルー、グリーン、イエロー
- 価格:税込5390円
「TIKKINA(ティキナ)」と似ていますが、大きく違う点としては以下の通りです。
- 赤色光を発することが可能。
- 電池残量を表示するインジケータランプ搭載。
- レンズ周囲に蓄光リフレクターがあり。
- 本体に被せるとランタン代わりに使える軽量ポーチ「シェルLT」が付属。
- 誤点灯防止装置が搭載されている。
要するにTIKKINAの上位互換です。
TIKKA CORE(ティカコア) :品番E067AA
「TIKKA」に、リチャージャブルバッテリー「コア」が付属したタイプです。
性能は概ね「TIKKA」と同様ですが、USBポート(MicroB)により再充電可能、重量がさらに軽量の84gになっているなど、一部異なる点があります。価格は税込9240円。
E+LITE(イーライト) :品番E02 P4
「超コンパクトエマージェンシーヘッドランプ」と銘打って販売されています。
始めからリチウムコイン電池が2個付属しているため、手元に届いて次の瞬間に使用できます。
そしてそのすぐに使えるという状態で約10年間保存できるので、災害時や遭難といった緊急時用のランプとして使用するためのアイテムです。
保護ケースや、ヘッドバンドの後方にはホイッスルも付属しているので、ポケットや救急箱などに忍ばせておくのも良いでしょう。まさに安心を買う商品です。
照射力 | 照射距離 | 照射時間 | ||
白色光 | 弱 | 20lm | 13m | 9.5時間 |
強 | 40lm | 15m | 3.5時間 | |
点滅 | 15lm | 最大視認距離 100m | 95時間 | |
赤色光 | 点灯 | 2lm | 17時間 | |
点滅 | 70時間 |
- 白色光・赤色光ともワイドビームパターンのみです。
- 防水性能:IPX7
- 重量:26g
- 使用気温:-30〜+60℃
- カラー:ブラック
- 価格:税込3850円
スイッチはボタンではなくツマミを回すタイプであり、誤作動防止のためにロックがかけられる構造となっています。
重量もトップクラスに軽く、持っているのを忘れるくらいの感覚です。
BINDI(ビンディ) :品番E102AA
35gというコンパクトかつ超軽量なことが特徴のモデルで、首からかけて使用することもできます。
照射力 | 照射距離 | 照射時間 | ||
白色光 | 弱 | 6lm | 6m | 50時間 |
中 | 100lm | 23m | 3時間 | |
強 | 200lm | 36m | 2時間 | |
赤色光 | 点灯 | 1lm | 2.5m | 33時間 |
点滅 | 400mの距離から200時間視認可能 |
- 白色光・赤色光ともワイドビームパターンのみ
- 防水性能:IPX4
- 重量:35g
- カラー:ブラック、オレンジ、グリーン
- 価格:税込6930円
電源はUSBポート経由で充電可能な内蔵リチャージブルバッテリーとなっています。
アクティブシリーズ
登山などのアウトドアに向けて設定されたシリーズで、クラシックシリーズの上位互換のような位置付けです。
重量とランプの性能のバランスが良いとされています。
ACTIK(アクティック)
簡単に言うと、「TIKKA」の性能がアップしてやや重くなったものだと捉えると分かりやすいです。
その他の使い方などは、「TIKKINA」「TIKKA」などと変わりません。
照射力 | 照射距離 | 照射時間 | ||
白色光 | 弱 | 7lm | 10m | 100時間 |
中 | 100lm | 60m | 10(7)時間 | |
強 | 450(600)lm | 100(115)m | 2時間 | |
赤色光 | 点灯 | 2lm | 5m | 60時間 |
点滅 | 700mの距離から400時間視認可能 |
- 電池残量を表示するインジケータランプ搭載。
- レンズ周囲に蓄光リフレクターがあり。
- 本体に被せるとランタン代わりに使える軽量ポーチ「シェルLT」が付属。
- 誤点灯防止装置が搭載されている。
- ビームパターン:白色光はワイド・ミックス、赤色光はワイド
- 防水性能:IPX4(全天候型)
- 重量:98g
- カラー:グレー、ブルー、グリーン、レッド
- 価格:税込7700円
ACTIK CORE(アクティックコア) :品番E065AA
「ACTIK」に、リチャージャブルバッテリー「コア」が付属したタイプです。
照射力 | 照射距離 | 照射時間 | ||
白色光 | 弱 | 7lm | 10m | 100時間 |
中 | 100lm | 60m | 10(7)時間 | |
強 | 450(600)lm | 100(115)m | 2時間 | |
赤色光 | 点灯 | 2lm | 5m | 60時間 |
点滅 | 700mの距離から400時間視認可能 |
- 重量:88g
- 価格:税込11550円
スペシャライズドシリーズ
このシリーズ以下のものは、キャンプなどのライトユースではなく、特定のアクティビティに特化したハイスペックシリーズとなってきます。
スペシャライズドシリーズはとりわけ、ハンティングやフィッシング、自然探検などの特定のアクティビティに向けて設定されたシリーズです。
ARIA 1RGB(アリア) :品番E069BA
ステルス性の高いカラー光を採用したモデルです。
照射力 | 照射距離 | 照射時間 | ||
白色光 | 弱 | 7lm | 10m | 110時間 |
中 | 100lm | 45m | 12(7)時間 | |
強 | 350(450)lm | 70(75)m | 2時間 | |
カラー光 | 点灯 | 4lm | 5m | 50時間 |
点滅 | 700mの距離から300時間視認可能 |
- ビームパターン:ワイド
- 防水性能:IP67
- 耐落下性能(2m)および耐衝撃性能(IK07)
- 重量:105g
- カラー:ブラック、カモフラージュ
- 価格:税込6270円
ちなみに、最大照射力が450lm(コア使用時は600lm)の「ARIA 2RGB」(税込8580円)というモデルもあります。
パフォーマンスシリーズ/プロフェッショナルシリーズ
このシリーズは、洞窟探検や工事現場、爆発の危険を伴う作業などで使用されることを想定しているモデルであり、一般的に災害への備えやアウトドア目的でここまでの性能のものを所望している方は少ないと思われますので割愛します。
興味があれば、以下のリンクからご覧ください。
➡︎ プロフェッショナルシリーズ | ALTERIA | HEADLAMP
結局どれがオススメなの?
キャンプや標高の低い登山などのライトなアウトドアアクティビティでは、『TIKKA』や『TIKKINA』で十分だと思います。使いやすさで言うなら『BINDI』もオススメです。
一方で、洞窟探検や標高が高く危険度の高い登山などは、アクティブシリーズやプロフェッショナルシリーズなどのできるだけハイスペックなシリーズのものを使用することをオススメします。
それ以外では、ランニングやフィッシングなどは、パフォーマンスシリーズやスペシャライズドシリーズなど、その用途に特化したものを選択すると良いかと思います!